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ウィルスは眼に見えない。
見えないものを信じ、その脅威に恐れを抱くこと。
それが出来る生き物は、地球上では人間だけだ。
それが人類、つまり生きているわれわれ人間が進化した証拠なのである。

生き延びた種族はホモ・サピエンス、今のわれわれ人類であり、
絶滅した種族は、旧人類ネアンデタール人であった。

2016年に刊行されベストセラーとなった「サピエンス全史」の中で、
著者のイスラエル人歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリは、このように記している。

現実には存在しないものについて語り、あり得ないものを朝飯前にいくつも信じられるのは、ホモ・サピエンスだけであった」(「第2章・虚構が協力を可能にした」より)

作り話や噂、ウソを信じたり、現実には存在しないものやことについて、
普通に話ができたのはホモ・サピエンスと呼ばれる、われわれの祖先、今の人類だけであった。それが出来なかったネアンデタール人は地球上から消え去り、絶滅したのである。いわば生物として進化の過程に進んだのは、今、生きているわれわれ人類だけなのだ。

だからこそ、われわれ人類は、物語や作り話、アートや絵画、神や宗教といった眼に見えない、現実には存在しなかったり、造形物であったりするものを大切にする。想像上の物語、夢・希望、感情などを具体化することで、結束・連携・関係を作り、人類は進化し生き延びることができた。

では今。今度は、その眼に見えないものから脅威にさらされ、人類の岐路に立たされたホモ・サピエンスは一体どうすればいいのか?
ウィルスという眼に見えないもののに対する行動、認識が予防や対処という形でかろうじて、人類の生命を繋ごうとしている。しかしそれは本当の道なのか?

旧人類のネアンデタール人は、見えないものの存在に対して、
真っ向から反対し、戦いを挑んだのではないか。・・・だとすれば、
新型コロナウィルスに打ち勝つ、根絶させるが本当に正しい道なのだろうか?

もちろん人類は今、種族の進化の階段を上るべき時ではないかもしれない。
ならば、百年前の近代の疫病や経済危機に対する検証だけでなく、
1万3000年前の人類の岐路にも、答えになる道筋があるのではないか?

そんな直観的な何かが、体の奥のずっと遠くの方から響いていきた。

清藤 誠(陰陽師/TVディレクター)

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