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地球は今、ようやく”幼年期の終わり”を迎えたのである。

上空を見上げるとそこには巨大な宇宙船が、私たちの空を覆っている。
これは映画「未知との遭遇」や「インデペンデンス・デイ」の1シーンではない。宇宙人とのファーストコンタクトの原形的イメージとなるこの光景は、SF小説黎明期の実に早い段階から、人類が自らコントロール不能に陥るイメージの潜在的光景として出現していた。

1953年に発表されたアーサー・C・クラークの小説「幼年期の終わり」において、それは小説の冒頭から作品世界を覆い包んでいる。
都市上空を巨大宇宙船が覆っているだけでなく、地球の人々の生活・気持ち・心・概念までもすべて包括するオーバーロードと呼ばれる生命体によって人類は支配されていたのだった。

オーバーロードの最高君主となる意識生命体は、この惑星(地球)が今、ようやく大人になろうとする第一歩を踏み出し始めたばかりだと感じている。
小説内の設定では、それは21世紀、つまりわれわれが生きる現代とされている。それが今から70年ほど前にアーサー・C・クラークが想像上のシミュレーションによって描いた光景だった。

私たちは今、姿の見えないオーバーロードなる存在に揺り動かされてる。
それはウィルスという、感情的意見交換のできない生命体なのではないだろうか?

または人類の一部の身体機能を激しく揺さぶる、概念のようなものなのだろうか?

何れにしても私たちは、ようやく幼年期の終わりに達しようとしている。
いつまでも大人になりたくはない。それは赤ちゃん・子供を経験した人類のすべてが共通して抱える甘えの意識だ。自分がしたいように生き、好きなだけやりたいようにやり、食べたいだけ食べ、眠りたいだけ眠る。自分だけの意のままに過ごせる時間が、いつまでも続けばいいと思っていた。

何のことを言っているのか、わかる人にはわかるだろう。あるいは何のことやら、さっぱり意図が伝わらないという人も同じくらいいるかもしれない。

生き方を変えなくちゃならない。われわれ人間だけが、ある一部の種族だけのわがままで生きるだけじゃいけないということを。考え方も思考パターンも、精神的なマインドセットも大きく転ずるタイミングにきているのだ。地球は今、幼年期を終え、次のフェーズの移ろうとしている。もちろんこの話は、小説・虚構の中でのシミュレーションに過ぎないことだ。

だがしかし、人類とは眼に見えないものや作り話や物語の中に真実を見出すことで、生き延びここまで進化を続けてきたのではなかったか。

今、私たちは現実の21世紀を迎え、月と太陽の重なりが生み出す光の襞に中で、ようやく私たち人類の子供時代、幼年期に終わりが告げられたのである

清藤 誠(作家・TVディレクター/陰陽師)2020.04.02

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